茶、美、くらし

お茶と食事 余珀 店主。お茶、日本の美、理想のくらしを探求中

2019-01-01から1年間の記事一覧

茶道とは

2019年最後のお稽古。今回は座学から始まった。問いは「文化とは」、そして「茶道とは」。自分にとって文化とは何か、茶道とは何か、頭をぐるぐるさせながら言語化するのは苦しく楽しかった。茶道が好きだ。では茶道の何が好きなのか。そもそもの入り口は道…

お知らせ

正垣家は2020年春、登戸に自分たちのカフェを開きます。遣欧茶節団の旅から帰国後、スイッチが入り動き始めてすぐ、登戸で良いご縁に巡り合いました。「登戸?」と思われた方もいるでしょう。登戸は小田急快速急行で新宿から16分。新宿、代々木上原、下北沢…

「グランメゾン東京」というドラマを見ている。正確にいうと毎週楽しみに見ている。ドラマを見るなんて何年振りだろう。きっかけはお客さまからのお勧めだった。フレンチレストランが三つ星を目指す物語で、良い店を作るとはどういうことか、毎回違った角度…

書くということ

数日前の井の頭公園。帰国してからいろんなことが急に動き出し、流れに乗っているのか、激流に飲まれたのか、よく分からない日々。それでも心はこの空みたいに概ね晴れている。雲を晴らすには書く。ノートを開く。ペンを持つ。手を動かす。考えずに。整えず…

私的遣欧日記13・終

最終日。雨の予報だったが目が覚めると止んでいた。今日の昼の飛行機で帰国する。最後の散歩。この街も見納めだ。次回のために回りきれなかったお店の場所だけ確認する。改めて感じる無駄な色や形のないこの街の心地よさ。北欧に何度も訪れたくなるのがよく…

私的遣欧日記12

雨の6日目。Malteさんならこの空を見てこう言うだろう。「It’s Denmark」と。煙るような霧雨。風景が一層幻想的に見える。クリスチャニアの脇を通り過ぎ、運河沿いを北上する。今回の滞在で3度目の再訪となるカフェへ。また「NOT CHOCOLATE」という飲み物を…

私的遣欧日記11

約束のアパルトマンの最寄り駅に着いた。歩いて行くと長い髪の美しい女性が外まで出迎えてくれた。ゆきこさんだ。お茶が結んだご縁。会えた感慨にしばし浸る。アパルトマンではシモンさんが待っていた。無駄なものがなくすっきりとした、でも温かみのあるお…

私的遣欧日記⑩

コペンハーゲン5日目。カードが有効なうちに電車に乗る。目指すはルイジアナ美術館。「今一番行きたい美術館はルイジアナ美術館だ」。以前、知人がそう言っていたのを聞き、コペンハーゲンに来たならば必ず行こうと思っていたのだ。車窓から見える風景が変わ…

私的遣欧日記⑨

アンパンマンが去り、夫婦二人だけの旅が始まる。ここからは観光を楽しむ予定。まずはデザインミュージアムから。コペンハーゲンカードという電車やバスが乗り放題で美術館のパスにもなるお得なカードがある。ミュージアムのチケット売場でそれを購入しよう…

私的遣欧日記⑧

3日目。部屋の窓から美しい朝焼けが見える。今日も素晴らしい天気になりそうだ。最寄り駅付近のパン屋さんでデニッシュに挑戦。シナモンロールっぽいものを選んだら、目が覚める甘さ。ブラックコーヒーがよく合う。約束のお茶屋でアンパンマンと合流。白を基…

私的遣欧日記⑦

コペンハーゲン2日目。快晴。散歩に出る。自転車に乗った人々がビュンビュン通り過ぎる。運河沿いを北上し、カフェへ。ペストリーは外カリ、中フワ&モチ。一度帰宅しMalteさんと待ち合わせし洗濯機の使い方を説明してもらう。日本大使館への行き方も丁寧に教…

私的遣欧日記⑥

旅は続く。パリを出発した私は、夫とアンパンマンと次の国を目指す。空を滑らかに進む飛行機。見下ろすと海が見える。目的地コペンハーゲンだ。到着したカストロップ空港。市内へはここから電車で15分ほどで行ける。ずいぶんコンパクトで便利だ。アンパンマ…

私的遣欧日記⑤

最終日。ゆっくりめの起床。昼、茶節団のもう一つのイベント会場であるギャラリーへ。メンバーが揃い、いらっしゃるお客さまをそれぞれにもてなす。最後は櫨蝋燭の灯りのもと、先生が歌を詠み締め括った。「パリのひに われらのひも ともさんと ひとのえにし…

私的遣欧日記④

The-ritoires ( https://instagram.com/the.ritoires?igshid=1rpawtm1o8nri ) でイベント。森の中に迷い込んだような素敵なお店。数種類の日本茶と今回のために作った和菓子を楽しんでいただく内容で、アンパンマンと夫が日本茶を、由佳子さんが和菓子を、私…

私的遣欧日記③

2日目の朝は野点からスタート。カフェで過ごしてから凱旋門で皆と合流。アンパンマンの先導でエッフェル塔に向かう。塔のふもとの歩道で3人並び、揃いの衣装でまず一回。その後、トロカデロ広場に移動して二回目の野点。夫婦で一緒に点てた。ここも以前訪れ…

私的遣欧日記②

飛行機は夜明け前に到着した。空港から凱旋門までバスで向かう。通り過ぎる樹々や空を横切る鳥を見て外国に来たと思う。シャンゼリゼを南下して待ち合わせ場所でメンバーと合流。いつもの仲間とパリにいる。一緒に街を歩いている。その光景が不思議。夕方に…

私的遣欧日記①

4年前、雨の桜の頃、初めてお茶会に参加した。部屋に生けられた大きな桜の枝。車座になり、料理と日本酒とおしゃべりを楽しむお客たち。お菓子は三色団子。亭主はゆるゆるとお茶を点てている。雨だけど、部屋の中だけど、花見だった。会場のお茶室にたどり着…

散歩

目の前に黄色い葉が一枚落ちた。見上げると空を覆う葉は緑の色ばかり。色づいてなどなかった。黄色い葉が木についているわけではない。黄色くなったから落ちたのだと合点。すっと伸びた枝。ごわごわ硬そうな樹皮。小さく小さく分解すれば私と同じ原子ででき…

千葉神社

敬老の日。弟を誘って千葉神社に参拝した。妙見様を祀る千葉氏の神社である。祖父が生きていれば、たぶん喜んでくれただろう。千葉という地の平穏を祈り、ここに来られたことを感謝して神殿に手を合わせた。参拝の後、二人でお蕎麦を食べた。そういえば15年…

司馬遼太郎「北斗の人」

現代剣道の基礎を形作ったと言われる北辰一刀流。その開祖、千葉周作の青年期を描いた作品である。奥州の馬医者の次男に生まれた周作が、剣の才能を開花させ、新流派を興すまで。周作は北斗七星に誓う。「天下の剣壇の総帥にならん」。若き天才が次々と道場…

9月2日

入籍記念日。今日で入籍して10年経った。「一年で一番大事な日だから」。そう言って、夫がこの日に入籍することを決めた。9月2日は私の誕生日だ。夫は照れずに、気負わず、素直に気持ちを言葉にすることができる。出会った最初からそうだった。「ありがとう…

山種美術館「日本画アワード」

「未来をになう日本画新世代」と題し、若手画家の入選作品44点が一堂に会する展覧会。入選された日本画家 高橋朋子さんの作品を拝見しに伺いました。作品は「壺中天」。龍の描かれる壺から現れるのは桜の大樹、夜空に浮かぶ月と星、天翔ける龍。近くで目を凝…

広尾はこふね「現代茶道具展」

「茶の湯の夏 朝茶の美」をテーマにガラスや竹細工など、涼やかなお道具が並びます。清らかに、軽やかに、夏を彩る茶道具たち。展示期間は8/12まで。ぜひお運びください✨✨現代茶道具展 - 茶の湯の夏 朝茶の美 -2019.7.25(thu) - 8/12(mon)11:00 - 19:00ギャ…

納豆

納豆が好きだ。茨城出身の母の影響か、子どもの頃の食卓には毎日ほぼ100パーセント納豆があった。ネギをたっぷり入れるのもいい。卵と合わせるのもいい。長芋をすりおろしたのと一緒に食べるのもいい。実家を出て暮らすようになっても、ことあるごとに納豆に…

松下竜一「豆腐屋の四季」

「涙がちょちょぎれるわよ」と言いながら常連さんが貸してくださった。貧しい豆腐屋の青年が綴る青春の記録。毎日毎日豆腐を作り、歌を詠む。生活の中の人間のかなしみ。悲しみと愛しみ。「私はすでに知っている。悲しみや怒りですら、それを詠いとらえて、…

「ジビエ展」

「ジビエ展」 6/14(金)〜18(火) 12:00〜18:00 と革 :台東区松が谷2-29-8#105 加藤キナ、meguru、Six coup de foudre の3人展。 鹿の小さな革を淡い色合いのお花にした作品や 鹿の角と真鍮を使った重厚なカトラリー、 熊の革で作ったバッグなど、 作家の皆さ…

買い物

「ココロ型」という形の財布を買った。閉じた形が片仮名の「コ」、裏返しても「コ」、財布を開くと「ロ」が現れる。それで「ココロ型」という名前なのだ。 ブランド名は「Six coup de foudre」。フランス語で「一目惚れ」という意味だ。文字通り、はじめはそ…

令和元旦

令和元旦。バタバタの店内に颯爽と現れ、「令和おめでとう!!」とキャンディーを置いてすぐ出ていったあの人。これを渡すためだけに店に来てくれた。平成最後の日、ランチに来てまた私に本を貸してくださったあの人。さっき、その本を読み終えた。うちのカ…

はこふね広尾「高橋朋子作品展」

「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えている。」この青。カムパネルラが拾った銀河の砂は、こんな色ではなかったか。何層にも重なる薄い青に、幼子のほっぺのような柔らかな紅色がわずかに透ける。金色の小さな火がきらりと燃える。青の銀河に白百合…

祝祭的休日

咲いてもよし。散ってもよし。光も温度も祝祭的。やまぶきも喜んでいる。公園散歩の後、常連さんに教えてもらったねじめ正一の民芸店の支店を見つけに駅付近をパトロール。果たしてあった。「和雑貨 ねじめ」。今までよく通っていた場所じゃないか。全然気づ…