茶、美、くらし

お茶と食事 余珀 店主。お茶、日本の美、理想のくらしを探求中

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

じょなさん

彼女はじょなさんと名乗った。「ひらがなでも、カタカナでも、英語でも、好きなように呼んでください」。ひらがながしっくりきた。問われる前は知っていたつもりのことが、問われた途端にわからなくなる、ということがある。「幸せとは何か」。その時の問い…

骨の音

ぱりん。白茶けた骨がたてる、せいけつな音。キィンとかすかな響きが混じる、軽くてかたい透明な音。ぱりん。「風の谷のナウシカ」の腐海の枯木が割れるときちょうどこんな音がした。「ホラホラ、これが僕の骨だ」見せてきたのは誰だっけ。警官みたいな帽子…

寒稽古

空には星が輝いている。朝刊もまだ届かない。一月の冷たい風が吹くなか、武道体育館へ自転車をこいだ。先日、体育専門学群の剣道の寒稽古に参加できることを知った。「良い経験になるから出るように」。先輩の言葉に、サークルの仲間は「はい」と答えた。メ…

「小手あり」。三本の赤い旗が同時に上がった。夏合宿の部内戦。初めて先輩に勝った瞬間だった。相手は女子で最強の先輩だった。「私のほうが稽古している」。そう言い聞かせて勝てないはずの試合にのぞんだ。相手が面にくるところを出小手で押さえ、その一…

まんぺいさん

「まんぺいさんに似ている」。また夫がそう言われた。数日前に別の方にも同じことを言われたのだ。「まんぷく」を見たことがないので、「まんぺいさん」が誰か分からない。昨日、早起きできたので確かめてみた。丸眼鏡。ぼさっとした頭。ややつり目。ちょっ…