茶、美、くらし

お茶と食事 余珀 店主。お茶、日本の美、理想のくらしを探求中

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

はこふね広尾「高橋朋子作品展」

「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えている。」この青。カムパネルラが拾った銀河の砂は、こんな色ではなかったか。何層にも重なる薄い青に、幼子のほっぺのような柔らかな紅色がわずかに透ける。金色の小さな火がきらりと燃える。青の銀河に白百合…

祝祭的休日

咲いてもよし。散ってもよし。光も温度も祝祭的。やまぶきも喜んでいる。公園散歩の後、常連さんに教えてもらったねじめ正一の民芸店の支店を見つけに駅付近をパトロール。果たしてあった。「和雑貨 ねじめ」。今までよく通っていた場所じゃないか。全然気づ…

ねじめ正一「荒地の恋」

ねじめ正一と聞くと反射的に「六月の蠅取り紙」が思い出される。吉増さんに盛り上がっている私をみて先週、常連さんが貸してくださった。詩人 北村太郎の大人の恋。しかも相手は田村隆一の妻だ。「日本でプロフェッショナルだと言える詩人が三人いる。それは…

幸田文「おとうと」

母のお勧め、その2。泣けて泣けて、読み終えたという。一気読み。母の選ぶ本は優しい。「よくはわからない。けれど、陽にあたっているあちらに平常の世界があって、自分は丘の上にひとりすかすかと風に吹かれているという景色はよくわかる。」「すかすか」と…

石井桃子「家と庭と犬とねこ」

母に勧めてもらい、読了。1907年に浦和で生まれ、終戦直前に宮城で百姓を始めた石井さん。子どもの頃の記憶や東京と山を行ったり来たりの生活を飾らない正直な文で綴っている。心の柔らかいところをそっと起こしてくれるような、そんな本だった。「『空気の…