茶、美、くらし

お茶と食事 余珀 店主。お茶、日本の美、理想のくらしを探求中

2020-01-01から1年間の記事一覧

余珀日記13

学生時代の友人が来てくれた。彼女は我々を「あやっぺ」と「かっつん」と呼ぶ。彼女がいなければ私と夫は出会っておらず、当然余珀も生まれていない。年内最後の通常営業日に相応しい特別なお客さまだった。その夜、彼女は私の家にやってきた。彼女お勧めの…

余珀日記12

余珀を始めて半年が経った。毎日が早い。毎日全力で毎日くたくた。この記録のタイトルは「余珀日記」だが、「余珀月報」とした方が良いような更新頻度になっている。書きたいことはたくさんあるのに追いつかない。 好きな人と好きな場所で好きなことをやって…

「ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)」

岩手一関のジャズ喫茶ベイシーのドキュメンタリー映画。一関には父の実家がある。ベイシーは有名で前から存在は知っていた。弟は来訪経験があり、その感想を「爆音でライブハウスみたいだった」と語る。オーダーも指をさして取る形だったらしい。音の大きさ…

余珀日記11

右目から糸が出ている気がする。髪の毛だろうか。よく分からないが糸状の何か。右目周辺を指で触る。鏡で見てみる。探しても糸は見つからない。3年前の10月、顔の右側を3箇所骨折した。鼻と口の近くが2箇所裂けて縫った。前歯も欠けた。左足も切れて縫った。…

余珀日記⑩

「旅行に来たみたい」。お客さまによくそう言われる。和と洋が混ざった異空間。時の間のエアポケット。余珀は民家を改装したお店だ。オーナーさん渾身のリノベーションを生かしつつ自分たちの手を加えた合作である。門からドアに至るアプローチは茶室につな…

余珀日記⑨

最近、お茶に手紙を書いている。このお茶を飲んでどんな気持ちになったか、味や香りとともに自分の感情を味わい、それを言葉にしている。手紙を書くうちに思い出したことがある。子どもの頃からお茶はわりと身近にあった。父の実家までおよそ100km。母の運転…

余珀日記⑧

どうして登戸でカフェを開いたのか、とお客さまによく聞かれる。その質問にいつもこう答えている。「そこに物件があったから」だと。導かれるようにここにたどり着いた。昨年の10月下旬から11月頭にかけて、茶縁で結ばれた仲間たちと「遣欧茶節団」と名乗り…

余珀日記⑦

テイクアウト営業をはじめて10日と少し。初日にはお客さまの一人が香り高い薔薇をプレゼントくださった。大々的に告知をしたわけではないけれど、近隣のお客さまがお店を見つけて日々訪れてくださる。リピートしてくださる方も多く、顔馴染みの方が少しずつ…

余珀日記⑥

余珀のお披露目をした3月22日、ありがたいことに予想をはるかに上回るたくさんの方にお越しいただいた。いらしたお客さまが「お花見する暇もないだろうと思って」と桜の枝をくださった。当時つぼみの多かった桜は、その後ずいぶん花を咲かせ、部屋の中でも十…

余珀日記⑤

「お茶と食事 余珀」看板の取り付けが終わりました。日常に日本茶と余白の時間を。余珀の「はく」は琥珀の「珀」という字を当てました。この名前に込めた想いがいくつかあります。一つは「余白」。ノイズから離れた余白の時間。静かに自分と向き合う時間。日…

余珀日記④

余珀について記録に残そうと日記を綴っていたのだけれど、記せないうちに時は経ち、世界はどんどん変わり、今やいつ開店できるのかすっかり分からなくなってしまった。けれど、備品の発注や試作、まだまだ準備することはたくさんある。2月頭からほとんど引き…

余珀日記③

自分たちだけで本格的に塗装作業を進める。古い塗料を落とした棚板に別の色を塗る。表を二度塗って、次は裏。塗るのはすぐだが、乾くのにけっこう時間がかかる。乾くまで一晩放置。雨だと塗装できないので晴れの日まで次の作業が持ち越される。思ったより進…

余珀日記②

アンパンマンと設計士さんが来てくれた次の日、もう一度ホームセンターに足りない資材を買いに行った。アンパンマンの次回のヘルプは1週間後。しばらくは夫と二人で作業を進めることになる。買い足したマスキングテープと養生テープを使って、塗装箇所を養生…

余珀日記①

肩が痛い。背中も腰も痛い。目が覚めると全身が筋肉痛だった。何でだっけ。思い出した。昨日、電動サンダーをかけたせいだ。内装工事初日、棚板の塗装を落とすために初めてサンダーと格闘したのだ。登戸に引っ越して3日目。春にオープン予定のお店の内装DIY…

初釜

三溪園で初釜。4年前、ここでお点前デビューしたことを思い出す。巡り巡ってまたここから。種をまく子年。今年は煎茶席の裏方を担当。部屋に光が差し込む。お運びなのに笑いすぎ。久しぶりの皆さまと会えて話せて嬉しい時間。心地よい疲労感と清々しさ。自分…

初夢

茶筅を一生懸命振っていたら、お茶を点てているはずの右手が掛け布団を高速で擦っていることに気がつき、自分の手の動きにびっくりして目覚めた朝。布団をシャカシャカ擦る音に驚いて隣で寝ていた夫も起きてしまった。これが2020年に初めて見た夢。今年も茶…