茶、美、くらし

お茶と食事 余珀 店主。お茶、日本の美、理想のくらしを探求中

余珀日記①

肩が痛い。背中も腰も痛い。目が覚めると全身が筋肉痛だった。何でだっけ。思い出した。昨日、電動サンダーをかけたせいだ。内装工事初日、棚板の塗装を落とすために初めてサンダーと格闘したのだ。


登戸に引っ越して3日目。春にオープン予定のお店の内装DIYに今日からいよいよ取りかかる。開店準備をサポートしてくれるアンパンマンと設計士さんと、朝、狛江駅で待ち合わせ。駅から歩いてホームセンターに向かう。途中、休憩したいという設計士さんとコンビニで別れ、アンパンマンと夫と私の3人で歩いた。2人が歩く後ろ姿を見て、コペンハーゲンでも同じ光景を見たことを思い出す。一番後ろを歩くのは楽しい。


中通りかかった公園で「あれに3人で乗りましょう」とアンパンマンが言ってきた。あの揺れるパンダの乗り物に3人で乗って設計士さんを待ち伏せしたら面白いじゃないか。そういうことらしい。彼はいつも潤いのある会話を大切にしている。冗談は却下して先を急ぐ。


ホームセンターに着くと設計士さんの方が先に到着していた。いつ抜かれたのだろう。どうやら別のルートで来たらしい。公園で待ち伏せしなくて良かった。ホームセンターは大きかった。園芸用品、工具、木材、塗料、食品から家電まで何でもある。ドリルを手に取る若い女性。パイプを購入する年配の男性。老若男女問わず大勢のお客がここにいることに驚く。事前に作成済の買い物リストに従って、商品をカートにどんどん放り込む。アンパンマンがまた変なものを見つけてきた。白い不織布のつなぎ。「全員お揃いで着たら面白いでしょう」とアンパンマン。設計士さんだけ着用を頑なに拒否。結果、つなぎは3着だけ購入することになった。やはり潤いは大切だ。大荷物を抱えてタクシーで登戸へ戻った。


現場に着いた後、アンパンマンと設計士さんの行動は早かった。部屋にブルーシートを張り、塗装する壁を養生し、塗料を落とす棚板を外す。3人ともお揃いの白いつなぎを着て準備完了。外した棚板の塗装を電動サンダーで落とすのが、私のはじめの仕事になった。サンダーに体重を乗せて板に押し当てる。厚く重ねられた塗料。少しずつ表面が削られる。古い塗料が粉になる。サンダーの振動が肩に伝わる。すぐに腕も痛くなる。中腰の姿勢がつらい。ようやく木部が見えてきた。古い塗料が剥がれ、新しい木部に変わっていくのは清々しい。この日は3枚の板を何とか仕上げた。


次の日に訪れた全身の筋肉痛。内装工事とともにこの痛みもこれから毎日続くことを、この時の私はまだ知らなかった。


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