茶、美、くらし

お茶と食事 余珀 店主。お茶、日本の美、理想のくらしを探求中

余珀日記③

自分たちだけで本格的に塗装作業を進める。古い塗料を落とした棚板に別の色を塗る。表を二度塗って、次は裏。塗るのはすぐだが、乾くのにけっこう時間がかかる。乾くまで一晩放置。雨だと塗装できないので晴れの日まで次の作業が持ち越される。思ったより進まない。待つこともまた大事な作業だと分かった。


お店のロゴデザインは昨年一緒に渡欧したデザイナーさんにお願いした。我々の人となりを理解し、言葉で伝えていないことも汲んでくれ、素晴らしいアイデアを複数出してくださった。文字の形、大きさ、太さ、スペースの取り方、柔らかさ。わずかな違いでここまで印象が変わるのだとはじめて実感。この日のうちにロゴデザインはほぼ確定した。その後、看板についてもデザイナーさんとやり取りするのだが、何も言わずとも我々の意図を汲み、ミリ単位で調整し、形にする彼の職人技に感動することになる。彼は我々の夢をなんでも叶えてくれるドラえもんみたいな存在になった。


二日後、設計士さんが来てくれた。客席とキッチンを区切るウエスタンドアの取り付けとキッチン内に設置する棚の製作を行う。ホームセンターで木材を購入し、設計士さん指導のもとはじめてインパクトを使った。インパクトを持つ手がふにゃふにゃして下手な私に比べ、夫は要領をつかんだよう。あっという間に棚ができた。試しに所定の場所におさめてみるとぴたり。さすがだった。


DIYの疑問はこのタイミングで全部設計士さんに聞いておく。塗装の終わった部分の養生はいつ剥がすのか質問すると、塗装後すぐに剥がすのだという。塗ってからもうだいぶ経っている。焦って剥がしてみると、塗料が乾き過ぎていて養生テープとともにパリパリ取れてしまった。テープをうまく剥がせたところでも、養生が甘くて下地が出ているところもある。塗装は「養生が8割」。改めて思い知った。結局、際の塗装はほとんどやり直した。


塗装の要領、養生の要領、工具の要領。つかめた頃には次の新しい作業が始まる。自分の手でできることが増えていく。少しずつお店の形が現れる。手をかければかけるほど愛着がわく。日々やれることを淡々と。地味だけど毎日が楽しい。


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