茶、美、くらし

お茶と食事 余珀 店主。お茶、日本の美、理想のくらしを探求中

茶道とは

2019年最後のお稽古。今回は座学から始まった。問いは「文化とは」、そして「茶道とは」。自分にとって文化とは何か、茶道とは何か、頭をぐるぐるさせながら言語化するのは苦しく楽しかった。


茶道が好きだ。では茶道の何が好きなのか。そもそもの入り口は道具だった。西洋美術から日本美術、茶道具へと興味が移り、総合芸術と言われ、建築も書も花も料理もあらゆる美を学べる茶道に行き着いた。目の前の方にただ一服のお茶を点てる、そこに至る心配りをはじめ学びは尽きない。 4年半の稽古を経て改めて考える。私は茶道の何が好きなのだろうか。


お点前をしている時が好きだ。その清々しさが好きだ。お点前をする時、自分がなくなる。けれど、稽古を重ねるたびに自分の輪郭がはっきりしていくように感じる。自分が際立つ。軸が太くなる。お点前の瞬間、目がよく見える。耳もよく聴こえる。全身で感じる。光と影。釜の湯気。お湯の音。水の音。頬をなでる風。茶碗の重さ。お茶の香り。くっきりと鮮やかに体に届く。自分の透明度が増す。同時に結晶化する。私にとって茶道とは、魂を磨く時間だ。


もうすぐ2020年。種から芽が出るように。蕾が花開くように。雛が卵の殻を破るように。あるがままの光を、純度と明度を上げて、磨き、満たし、放っていきたい。


f:id:ashogaki:20191231154347j:plain