松下竜一「豆腐屋の四季」
「涙がちょちょぎれるわよ」と言いながら
常連さんが貸してくださった。
貧しい豆腐屋の青年が綴る青春の記録。
毎日毎日豆腐を作り、歌を詠む。
生活の中の人間のかなしみ。
悲しみと愛しみ。
「私はすでに知っている。悲しみや怒りですら、それを詠いとらえて、幾十度も口につぶやくとき、すでになにかしらいとしいもの、愛みたいなものに変わっていることを。
そうだ! 私にも煮つめてみたら、歌の定義がひとつあったのだ。ーー詠うとは、愛することなのですね。」
「涙がちょちょぎれるわよ」と言いながら
常連さんが貸してくださった。
貧しい豆腐屋の青年が綴る青春の記録。
毎日毎日豆腐を作り、歌を詠む。
生活の中の人間のかなしみ。
悲しみと愛しみ。
「私はすでに知っている。悲しみや怒りですら、それを詠いとらえて、幾十度も口につぶやくとき、すでになにかしらいとしいもの、愛みたいなものに変わっていることを。
そうだ! 私にも煮つめてみたら、歌の定義がひとつあったのだ。ーー詠うとは、愛することなのですね。」