茶、美、くらし

お茶と食事 余珀 店主。お茶、日本の美、理想のくらしを探求中

買い物

「ココロ型」という形の財布を買った。閉じた形が片仮名の「コ」、裏返しても「コ」、財布を開くと「ロ」が現れる。それで「ココロ型」という名前なのだ。

 

ブランド名は「Six coup de foudre」。フランス語で「一目惚れ」という意味だ。文字通り、はじめはその色、質感、デザインに惹かれた。だが、迷った。私のようながさつな人間が、開けるたびに留め金を外す必要のある財布を面倒くさがらずに使えるだろうか。繊細な金具を壊さないだろうか。

 

「Six」は「死す」、「coup de foudre」は「食う」「フード」に掛けている。命を奪い、肉を食べた以上、その後に皮が残る。命を最後までいただくということ。使い切るということ。高見澤さんは、害獣として駆除されてしまった動物の革も、傷が付いた革も、端切れとなった革も、個性を見出し大切に使い切る。 

 

留め金を外して財布を開き、お金を出す。使い終えて財布をぴたりと閉じる時、自然と手を合わせる形になる。使うたびにその命に感謝し手を合わせる。「ココロ」を寄せる。使いやすく便利なデザインはいくらでもできる。あえてこの形にした。使う所作まで考え抜いてこの財布はできた。

 

ものづくりへ込められた想いをお聞きし、この財布を買うことに決めた。壊すかもしれないという自分が変わればいい。所作を変えればいい。使うたびに命に感謝し、手を合わせ、ココロを寄せる人間に私がなればいい。「ココロ型」という財布は私のココロを変えた。マインドを変える買い物をしたのは初めてだった。 

 

「この財布は何の革か」と夫が聞いた時、「この子は牛だ。トロントの子だ」と高見澤さんは答えた。他の革作品の説明をする時も、すべて「この子」と呼んでいた。トロントで育ち、姫路でなめされたこの子。今日から私の子。大切に使うことをここに誓う。

 

Six coup de foudre

https://instagram.com/sixcoupdefoudre?igshid=1qfth9nnieyhc

 

SHOP: と革

https://instagram.com/tokawa2298?igshid=1ahogiq1lsf9v

 

店主: 高見澤さん

https://instagram.com/atsushitakamisawa?igshid=19y8g2w29fmwt

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