茶、美、くらし

お茶と食事 余珀 店主。お茶、日本の美、理想のくらしを探求中

サン=テグジュペリ「夜間飛行」

蓋のない操縦席。
後ろに通信士が座る。
パイロットに話しかける声は
エンジン音と風の音で消される。
筆談でもたらされる情報、
わずかな計器、そして勘だけで
当時の飛行機は飛んだ。

夜。
闇が世界を覆うなか、飛行することが
どれだけ危険だったか。
夜間郵便飛行に挑む男たちが
この物語の主人公だ。
命を賭して飛ぶパイロット。
地上で冷徹に司令に当たる社長。
皆の上にある空は
大きく、恐ろしく、美しい。

満天の星空も、
暴風吹き荒れる嵐も、
描かれる空の美しいこと。

「この星々、聖なる道標。この月、浪費されたみごとな夜の金貨。」

サン=テグジュペリは飛行士だ。
度重なる墜落事故で負傷しながらも
生涯、飛行を辞めなかった。
44歳、ロッキード機で離陸した後
消息を断つ。
その後、54年経って
地中海で遺品が発見された。

昨夜、「紅の豚」が放映されたらしい。
「夜間飛行」と時代設定はほぼ同一。
「飛ばねぇ豚はただの豚だ」
あの台詞を、今なら熱く
受け止められただろう。
宮崎駿の生家が航空機産業だったことも
初めて知った。
あぁ、見たかった。

 

2018年11月3日


http://ashogaki.hatenablog.com/entry/2018/11/06/182729

 

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